
頻出表現「インシャーア・ッラー」
頻出表現「インシャーア・ッラー」
アラブ世界でよく耳にする有名な表現に、إِنْ شَاءَ اللهُ「インシャーア・ッラー」というのがある。
“もしアッラー(唯一神)がお望みならば”という意味だ。
近い遠いに関係なく未来のことに言及する時や、何か約束事をする際などに用いられる大変便利でよく使われる表現だ。
しかし、実際にアラブに行ったことのある日本人がこの表現から受けるイメージはどちらかというとあまり良いものではない。
例えば、あまり約束を守らない人がこの表現を頻発していると、やる気はないけどもしできたらやるよ、という責任感のない表現のよう取られても無理はない。
ただ、原義をたどれば、「私としては必ず成し遂げたい覚悟ができているが、アッラーがお望みでなければ不可能であるから、アッラーさえお望みになれば必ずや。」という前向きで謙虚な姿勢の現れとも解釈できる。
実際にこの表現の意味をアラブ人に尋ねると、後者の意味でとらえている方が多いことに気づく。
どれだけ原義が素晴らしくても、使う人によってそのイメージが良くも悪くもガラッと変わってしまうのは、古今東西不変の事実ではないだろうか。
それを心に留めながら、結局は一人一人目の前の人に真摯に向き合うことが大切なのだろう。